1.インフラ整備について
今年の夏もうだるような猛暑でした。オリンピック開催期間中の最高気温と平均気温を比較しましたところ、1964年五輪東京大会の年の比で平均1度、最高気温比較では2.5度も上昇しております。熱中症で倒れる人も少なくなく、都市の高温化は年々深刻な問題になっています。本区では、現在 環境対策型 舗装工事を進めており、神宮前通りでは完成していると承知しておりますが、更に本区として温度を下げる取り組みが必要に思います。遮熱性舗装の整備とともに緑陰の活用やミスト噴射機の設置なども効果的かと思いますが、本区独自の取組として、どのような対策を検討しているか伺います。
また、公共サインについては渋谷駅や原宿駅、千駄ヶ谷駅周辺地区に101の公共サインを整備予定であると承知しております。ピクトグラムを活用した見やすい公共サインながら、日本語と英語の2か国語表示と伺いました。しかしこれでは世界中から訪れる多様な来街者のニーズに応えきれないと考えます。今後は現在設置を進めているものに付属版を加える形で、視覚障害者のための点字案内版や多言語表示のためのQRコードなどを追加する形であれば、費用を抑えつつニーズに応えた展開が可能かと思いますが、お考えをお聞かせください。
更に、来街者や体調の悪い人、高齢者が街を歩いていて困るのはトイレです。本区では「渋谷区トイレ環境整備基本方針」や「渋谷区立公衆便所条例」に基づき、公衆トイレの整備を進めていることは存じておりますが、渋谷駅周辺などで誰もが使える綺麗なトイレを見つけるのは困難です。そこでS-SAP企業に協力いただき、協力いただける店舗にはトイレマークを設置するのはいかがでしょうか。整備費として補助金を支出しても公衆トイレを整備するより費用も抑えられると思いますが、お考えをお聞かせください。
以上、本区の独自性を持ったインフラ整備の取組について、区長の所見を伺います。
2.観光振興について
本区には多くの観光スポットがあり、本大会はその普及の好機です。渋谷の夜を楽しむナイトエコノミーの活性化や更に渋谷を深く知ってもらうための昼や夜のガイドツアーの増設、翻訳アプリの紹介などが必要だと考えます。多様な観光 MAPを整備していると承知しておりますが、紙のみならずQRコードでの読み込みができると多言語展開も低コストでできるのではないかと考えますが、区長にお尋ねします。
また、海外都市に行ったとき、都市の豊かさと先進性を感じる指標の一つがFree Wi-Fiです。現在本区ではFree Wi-Fiが34か所設置されていると承知しております。一方本区設置のもの以外にも東京都や鉄道会社等の設置する多様なFree Wi-Fiがありますが、規格が統一されていないため、その度ごとに利用者登録し、途切れるたびに新たなアクセスポイントに繋ぎ直す必要があります。本大会を機に、渋谷区全域へのFree Wi-Fiのネットワークを構築することが今後の観光推進に寄与すると考えます。そこで区長にお尋ねします。
以上、渋谷区を多くの来街者に知っていただき、快適に観光を行い、また訪れたいと思えるような観光振興の取組について、区長の所見を伺います。
3.バリアフリーについて
リアル観戦事業を推進するなどパラスポーツへの気運は上昇しており、本大会では多くの障害者の方も渋谷区を訪れることが予想されます。平成27年第三回定例会で、我が会派からのバリアフリーに関する質問に区長からの答弁で、「バリアフリーを考えるに当たっては、物理的なバリアの解消だけではなく、バリアがあっても人が介助することで乗り越えることができるなど、意識のバリアフリーが欠かせない。そのためには、障害者への理解拡大を進めることが大切で、バリアフリー情報の収集・提供システムづくりと同時に、助け合いの環境づくりの進め方についても調査・研究していきたい」と発言されておりました。
本区では平成30年に発表された「バリアフリー基本構想」に従って整備を進めていることは承知しております。再開発が進む渋谷駅前では、車いすの方や大きな荷物を持つ来街者も段差や階段を使わずワンルートでアクセスできるアクセシビリティ―ルートの整備が進んでいることは承知しておりますが、広く周知や広報を推進する必要があるのではないでしょうか。一方、段差や坂道、高架橋の残る渋谷の街の全ての公道において物理的なバリアフリーを完全に実施するのは困難である現状を鑑みると“意識のバリアフリー”の気運を高めていく必要があると思います。アクセシビリティルートの周知や意識のバリアフリーの気運醸成はどのように進めていく予定かお伺いします。
なおパラリンピック観光の一環として、今後はアクセシブルツーリズムも検討が必要だと思います。これは、障害者や高齢者など、移動やコミュニケーションにおける困難さに直面する人々のニーズに応えながら、誰もが旅を楽しめることを目指す取り組みのことです。アクセシブルツーリズムの充実はオリンピック後も役に立ち、多様性推進の一助になるのではないかと思います。そこで質問いたします。
以上、今後のバリアフリーの取組について区長の所見を伺います。
4.組織横断型のオリンピック対策本部の設置について
多言語表示、インバウンド、大会開催期間中に地震などの大規模災害が発生した場合の対応や、外国人の安全・安心を確保するための多言語版で分かりやすい防災マップの整備等、組織を超えた多様な準備や情報の発信が必要になると考えます。既に本区においてはオリンピック・パラリンピック推進課が設置されておりますが、大きな目標の実現のためには知恵や経験を共有し全庁的に取り組む必要があると考えます。
今回の代表質問にあたり様々な部署に現状を確認させていただきましたが、取組み部署が多岐にわたる一方情報共有が出来てなく盥回しになった部分もありました。私が全体像を把握するのが困難である以上、区民の方が情報を入手するのはより一層難しいのではないかという印象を受けました。部署毎では担当の方々が限られた時間と予算の中、真摯な姿勢で様々な取組を行っているのは評価いたしますが、今後は大会の成功と区政の透明化のためにも、情報の集約・共有・提供が必要です。組織横断的な対策本部を設置することで、今後自然災害対応やテロ対策を一元的に所管する組織横断的な取組のモデルケースにもなるのではないでしょうか。各課からメンバーが集まり全庁的に一元的所管する組織横断型のオリ・パラ対策本部やプロジェクトチームの設置が必要だと考えますが、区長の所見を伺います。